障害者施設の闇 劣悪な職員待遇の実態!重度・重複障害者介護の厳しさとは?

2016年7月26日に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で重度の重複障害者19人が殺害され、その他30人以上が重軽傷を負わされるという大変痛ましい事件が起きました。


犯人は施設の元職員「植松聖」容疑者です。


元々は「障害者の支援・介護」に生きがいを感じていたという植松容疑者が、なぜこのような犯行に至ったでしょうか?

事件を受けネット上では私たちが今まで目をそらしてきた「障害者支援や施設の闇」について、激しい議論が繰り広げられています。

はたして「障害者施設の闇・職員待遇の実態」とはどんな物なのでしょうか?実際に知的障害者施設・重度の重複障害者施設で働いている管理人がその実態や裏側を暴露しようと思います。

*この記事に書かれている事はあくまで「私個人が経験した事・感じた事」で、全ての障害者施設や利用者・職員に当てはまる物ではありません。記事を読んで不快になるおそれがある人は、どうか記事を読むのを避けてください。

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障害者施設の闇 私が実際に衝撃を受けた事実ランキング

まず、「障害者施設の介護や支援ってどんな感じなの?」と思われる方のため、私が今まで衝撃を受けた事柄についてランキング形式で紹介します。

1、どれだけ時間をかけて支援しても文句を言われる(精神と知的の重複障害)

私がまだ若い頃、勤務後に毎日2時間以上とある利用者の話を聞いていた事がありました。彼女の心が軽くなればと思い、一生懸命に話を聞いていたのですが、彼女から受けた仕打ちは「あの職員は何もしてくれないと他職員に告げ口された事」でした。


私的に利用者支援で1番辛かったのはコレです。


いくらサービス残業で支援しても、彼らは「全然支援してもらっていない」と感じます。んで、そんな人が私のご機嫌をとって話しかけてくる時は基本的に「休日出勤して外出させて欲しい、何かを買ってきて欲しい」という時です。

「障害者は純粋だ」なんて誰が言ったのでしょうか?彼らは本能のままに生きているだけです。

ちなみに今だったら「毎日勤務後に2時間も話を聞く」なんて事しません。が、節目節目で「ここだけは時間を掛けないといけない」というポイントがあったら何時間でも話を聞きます。必要な時に必要な支援を的確に行う事が大切ですね。

2、施設から集団無断外出される(軽度の知的障害者)

頻度は低いですが、これも地味にキツイです。夜中に突然施設から電話。話を聞くと「私の担当利用者が他利用者を誘って集団脱走(*無断外出)している」との話。

ええ、夜中だろうか出勤して、町中大捜索です。次の日も徹夜のまま出勤です。疲れます。


あの頃の私、よく倒れなかったな。


ちなみに集団で無断外出をされたのは過去に1回だけです(あの利用者は強烈でした/笑)。が、単独の無断外出&施設からの夜中呼び出しは年に数回あります。

3、自傷行為・他害行為が酷い人がいる(主に重度障害者、強度行動障害)

これだけはね、本当に難しい問題です。自傷行為や他害行為が激しい利用者(血が出る程頭を壁にぶつける、他利用者を押し倒す、噛む、つねる、部屋中の置物を破壊しつくす)も中にはいます。


現場では「何もない部屋で過ごしていただく」しか手がありません。


本来なら、その人が「自傷・他害・破壊行為」をする理由を突き止め、それをさせないためにマンツーマンで支援するのが理想ですが、正直、現場は手が足りずそこまで支援ができません。

例え、他職員へ改善策を提案したとしても、古いスタッフから「そんな事をする余裕はない」と一刀両断されます。

結果、何もない部屋へ避難していただく事になります。アレな言い方をすると「隔離」です。一歩間違うと「虐待」です。人が少ないのがいけないのか、現場職員がうまく対応できないのがいけないのか…複雑な問題です。

4、とにかく毎日利用者同士のけんか(軽度知的障害)

特に「軽度~中度知的障害者」で多いのが、利用者同士のけんかです。毎日「あの人が挨拶を返してくれなかった」「バカといわれた」という理由でけんかします。泣きます。奇声を発します。


気分は小学校の先生です。


が、利用者の年齢は40代以上のおじさん、おばあさんが主。小さい子供なら可愛らしい話ですが、泣きじゃくってるおじさん、おばさんを見るのは正直ツライものがあります。話を聞いているうちに私の方が泣きたくなります。

5、セクハラを受ける(重度身体障碍と軽度知的障害の重複障害)

こちらもよくあります。「体がうまく動かせないから」といってお尻を触ってくるセクハラ利用者がいます。


本当にムカつきます。


んが、訴えても無駄なので、自分の身は自分で守るようにするしかありません。エロオヤジの介護をする時は動く手の範囲を避けて支援します。

ちなみに同じエロオヤジでも堂々とセクハラする利用者は何故かそこまで嫌がられません。あと、イケメンも何かと優遇されがちです。

健常者だろうが障害者だろうが、顔とキャラクターって大切です(笑)

もう1つ余談ですが、被害に合うのは女性職員だけどは限りません。「障害者あるある」なのですが、同性の方が好きな人ってけっこう多いんですよ(笑)


6、部屋中に便をなすり付けられる(重度の知的障害者)

これは一部の重度障害者にある事ですね。オムツの中に手をつっこみ、便をこねて遊びます。壁になすり付けます。一般人からしたら衝撃的事実ですが、施設職員からしたらそう驚く事ではありません。


慣れると笑いながら処理できます。


ちょっと前に、0歳の娘が同じ事をしていました(1回だけだけど)。「なるほど、彼らの時間は0歳で止まっていたのか」と実感した瞬間です。

7、成長した!と思っても、次の日にはまた戻っている(軽度から重度まで)

これも「あるある」ですね。何かできるようになって「やった!成長した!」と思っても次の日には元に戻っています。


地味にがっくりしますが、仕方ありません。


また教えなおしです。百回に1回くらいは本当にできるようになるので、あきらめるワケにはいけません。その時はかなり感動します。

きっとこの感動があるから、私を含め待遇が悪い職場でも「障害者支援」を辞めれない人がいるのでしょう。期待しすぎず、でも期待して、支援を行います。かなりの「ドエム」じゃないと務まりません。

8、殴られる・噛まれるの暴力を受ける(軽度から重度まで)

これもよくあります。興奮した利用者を止める時に殴られる事もありますし、職員のミスで噛まれる事もあります(利用者の限界を把握できていなかった時)。正直、精神的な物の方がキツイので、


身体的なダメージは大したことありません。


「はははっ、この前○○さんに噛みつかれて青あざできちゃいましたよ~」と平気で会話します。噛みついた利用者が悪いんじゃありません。噛みつかれた職員が悪いんです。いや、これは本当に!

上記の内容は色々な障害を持った人についてごちゃ混ぜで書いていますが、植松容疑者が標的にした「重度重複障害者や重度知的障害者のリアルな現実」のみについて、もっと具体的に知りたい人はこちらの記事をどうぞです。

→『重度重複障害者とは?施設で働いている人は大変なの?
→『重度知的障害者とは?特徴やリアルな生活の様子は?生きる意味はあるの?

障害者施設で働いていて感じる事

えーと、色々書きましたが、正直、利用者から受ける「アレコレ」って利用者に問題があるというよりは(セクハラ以外)、


職員の支援に問題がある事の方が多いです。


ですので、私は10年程障害者支援に携わってきましたが、利用者から受けた事で「怒りが収まらない事」ってそんなにないです。確かに一時的にはムカつきますが、時間がたって後から考えると「自分の支援方法に問題があったなぁ」と思う事の方が多いです。

それよりムカつくのは「職員同士のアレコレ」「保護者から言われるアレコレ」ですね。気になる方は続きをどうぞです。

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障害者施設の実態 職員待遇が悪いって本当?

私的にどうにかして欲しいのは「利用者」ではなく「待遇の悪さ」の方ですね。よく話題になっている通り障害者施設・介護施設は


重労働の割に給料が安いです。


とはいっても働く施設によってピンキリですね。良い場所なら「サービス残業なし」「夜勤手当も高い」「給料も良い」という場所もあります。が、ほとんどの施設は

・給料は激安
・重労働(移動介護・オムツ介護・入浴介護で腰をやられる人も多い)
・サービス残業、休日出勤が多い
・特に昔からある施設は、パワハラ職員・ワンマン職員が多い
・資格を持った専門職員が少ない(資格があれば偉いというワケでもありませんが、給料が少ない分、質の悪い職員も多いです)


こんな感じで完璧ブラックです。志の高い若者が入ってきても、「待遇の悪さや人間関係」で辞めていく人が後を絶ちません。高齢者介護業界、保育業界にも同じ事がいえます。

「もっと給料を高くして欲しい」とも思いますが、正直「そんな支援方法だから給料が安いのも仕方ない」と思う職員だっているので、微妙な問題です。もっと全職員が質の高い支援を行えるなら良いのですが…。

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重度障害者や重複障害者の介護支援の難しさ

恥ずかしい話ですが、「重度の知的障害と身体障碍の重複障害者」の支援をしていた時に


「この人達はなんで生きているんだろう?」


と植松容疑者と似たような事を思った過去があります。だって彼・彼女らは基本的に1日ベッドの上で過ごし、表情が変わらず、意思疎通もできません。食事も流動食をペグから流し込むだけです(胃に直接穴をあけ、チューブで流動食を流し込む)。

親からも見放され、面会もありません。そればかりか、利用者の容体が悪化し生死を彷徨うと、職員に対し「なんでこんな事にさせたの!なんでもいいから生かしておいて!」と言い放った保護者がいます。

その保護者は「利用者を愛しているから生きて欲しい」のではありません。「国から貰える障害者年金が貰えなくなるから生きていて欲しい」だけなのです。


「果たして彼らは生きている意味は何なんだろうか?」


そんな現実を見た時、私の精神は潰れそうになり、先輩職員へ相談した事があります。先輩は「彼らはただ生きているだけで良いんだよ」と言いました。


キレイ事ですが、これが真実なのだと思います。


障害が軽度か重度かに関わらず、保護者の多くは「自分より先に子供に亡くなって欲しい」という想いがあります(実際に何人もの保護者から同じことを言われました)。だからといって「他人に殺されて欲しい」と思っている人は誰一人いません。

障害者であろうが健常者であろうが「ただ生きているだけでいい」のです。命の価値とはそういうものだと思います。

ここで終わっても良いのですが、もう1つ問題提起させてください。

今回の「相模原市殺傷事件」の背景は日本の「嫌な物を隠そうとする文化」にもあるのかもしれません。例えばあなた自身が、もしくはあなたの妻が妊娠しているとして、「お腹の中の赤ちゃんに障害がある」とわかったらどうしますか?

おそらく、多くの人は「おろす」という選択をするでしょう。

現に新出生前診断で「お腹の中の赤ちゃんに染色体異常がある」と確定した人のうち97%の人が中絶手術を受けています。

私は自分が障害者支援に携わっているので、障害を持った赤ちゃんが生まれた場合、「どこに相談すれば良いのか、どのような支援を受けられるのか」がわかります。ですので、もし障害児が生まれたとしても、上の娘と同様の愛情を持って育てる自信があります。


が、それでも、


もし自分が障害を持った子供を妊娠していると分かったら「堕胎」という選択をすると思います。

障碍者支援の喜びも知っていますが、同時に大変さ、辛さも充分知っているからです。また、私は良くても「私が死んだ後に娘やもしかしたら孫にまで負担がかかる」のはできたら避けたいと考えてしまいます。

そう考えるのは「障害者を隠そうとする日本文化」の影響なのかもしれません。今回の事件をきっかけに「障害者がもっと生きやすい環境」が整うと、私のこの考えも変化するのかもしれません…。


不快な想いをした人がいたら、申し訳ありませんでした。


障害者施設の実態まとめ

色々と書きましたが、何も全ての障害者が「困ったちゃん」というワケではありません。中にはこちらが尊敬する程丁寧で腰が低い障害者だっていますし、私ができない仕事をたんたんとこなせる障害者だっています。

健常者同様に様々な人がいるんです。

現場職員から見たら、ここに書いてある事は「生ぬるい」と感じるかもしれません。が、少しでも「障害者の実態」が伝わり、何かしら考える手助けになれば幸いです。

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