電車なんかに乗ると「優先席で携帯電話の電源を切る」ように促す呼びかけや表示がありますよね。電車を利用する人の中には「優先席で電源を切るべきかどうなのか」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
実際、携帯電話はペースメーカーに影響するのでしょうか?
ネットを見ると「携帯電話の電源は切った方がいい」という意見と「切らなくても影響はない」という意見がありますが、ペースメーカー当事者の意見はあまりみかけません。せっかくだから語ってみました。
実際、携帯電話はペースメーカーに影響を与えるのか?
私は学生の時に高度房室ブロックと診断され、ペースメーカーを入れました。ちょうど10年前の話です。結論から言いますと、この10年間携帯電話の影響でペースメーカーが誤作動を起こしたことは1度もありません。もう1度言います。
携帯電話の影響でペースメーカーが誤作動を起こしたことは1度もありません。
私自身、携帯電話(今はスマホ)を愛用していますし、私の家族も使用しています。電車にもバスにも乗ります。携帯電話を使うときに注意していることは特になく、普通の人と同じ感覚で使っています。それでも、影響が出たことがないんです。
ですので、「優先席付近で携帯電話の電源を切るべきかどうか」。私の意見は「切らなくても問題ない」です。
ただ、これはあくまで「ペースメーカー」に関しての私個人の意見です。他の医療機器に関しては知らないので、もし他に「携帯電話が影響する医療機器」があり、その医療機器を付けた人が「電車に乗る機会がある」としたら、優先席で携帯電話の電源を切るのは当然だと思います。そんな医療機器、私は聞いた事ないですが。
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電車内での「優先席での携帯電源オフ」ルールは本当に必要か?
平成27年6月総務省が「携帯電話の電波がペースメーカー等へ及ぼす影響についての指針」を改定し、携帯電話がペースメーカーに与える影響は極めて低いと発表しています。
それを受けて「優先席の携帯電源オフ」規定を緩和し、「混雑時のみ」携帯電話の電源を切るルールに変更した鉄道会社が増えました。
個人的には「完全撤廃」でも良いくらいだと思うのですが、総務省が「日常生活で携帯電話がペースメーカーに影響を与える事はないけど、一応15cmは距離をおこうね」としているので、鉄道会社も完全撤廃には踏み切れないのでしょう。これは仕方がないのかな、と思います。
総務省が行った実験では、日常生活で有り得ない状況(携帯電話の電波最大、ペースメーカーの感度2倍)の実験で、携帯電話とペースメーカの距離が3cm以内の時に微小の影響があっただけなのですが(笑)。
さて、そんな中でも未だに「携帯電源オフ」規定をそのまま継続している鉄道会社もあります。「安全が100%確認できていないから」とか「ペースメーカーを入れている人の不安を取り除くため」とか、もっともらしい理由を並べていますが、少なくとも「ペースメーカ装着者の不安を取り除くため」に関しては
完全に逆効果
です。ペースメーカーを入れている人で携帯電話の影響を気にしている人は「高齢者」か「ペースメーカーを入れたばかりの人、あるいはこれから入れる予定の人」でしょう。
そういった人に必要なのは「優先席という偽りの安全」の確保ではなく「携帯電話がペースメーカーに悪影響を及ぼすことは日常生活で有り得ない」という事実の普及です。携帯電話がペースメーカーに影響ないとわかれば、電車に乗る時に不安になる人もいなくなるでしょう。優先席の携帯電話使用をめぐってのトラブルも減少するはずです。
まだ「優先席の携帯電源オフ」規定を設けている鉄道会社は、早急にルールを変更して欲しいものです。