いとおかしの意味は?枕草子の原文とわかりやすい現代語訳もあり

先日、部屋の掃除をしていたら「高校時代に使っていた古文の教科書とノート」が出てきまして。「懐かしいなぁ」とページをめくってみると、枕草子の「春はあけぼの」のところに、

「いとをかし テストに出るぞ いとおかし」

となぜか五七五調で赤ででかでかと書かれていましたよ。「何してるんだ、私」と当時の自分にツッコミつつ、せっかくだから古典の「いとをかし」の意味なんかをまとめてみました。

私、これでも古文・漢文だけは成績が良かったんです(`・ω・´)

清少納言の枕草子「春はあけぼの」の原文超絶わかりやすい現代語訳も載せていますので、勉強中の方は良かったら参考にしてくださいね。

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いとおかし の意味や訳は?


いとおかし」の意味を説明する前に、1つ注意点です。

「いとおかし」は「いとをかし」を現外語仮名遣いで表記したもので、「いとおかし」自体は現代語にはない言葉になります。ですので書くときは「いとをかし」が正解ですよ。

さて、肝心の「いとをかし」の意味ですが、「いとをかし」は「いと」と「をかし」に分けることができます。


【いと】
物事の程度を強調して表すもの
「非常に、大変、とても」

【をかし】
平安時代の美的理念の1つ
「趣(おもむき)がある、風情がある、おもしろ、興味がある、美しい、愛らしい、かわいい、素晴らしい」


見ての通り、「いと」は訳すのが簡単なのですが、問題は「をかし」の方です。「をかし」には様々な意味があり、状況によって微妙なニュアンスが違ってきます。

例えばこんな感じです。
【源氏物語】若紫
原文「けづることをうるさがり給へど、をかしの御髪や」
訳「髪をとかすことを嫌がりなさりますが、美しい御髪ですね」

【昔物語】二八・四二
原文「妻、をかしと思ひて、笑ひてやみにけり」
訳「妻は滑稽だと思い、笑って終わってしまった」

【更級日記】大納言殿の姫君
原文「笛をいとをかしく吹き澄まして、過ぎぬなり」
訳「笛をたいそう見事に吹きならして、通り過ぎていってしまったようだ」

イメージとしては最近の若い人たちが使う「ヤバい」みたいな感じかな、と思います。

「この料理、ヤバい!マジ美味しいんだけど!」
「ヤバい!もうこんな時間?絶対遅刻だ」
「え?もう着いたの?ヤバッ!そうとう早いね」

ただ、「をかし」の代表である清少納言の「枕草子」では「趣がある、風情がある」と訳されることが多く、現代でも同じように認識している人が多いです。ですので、一般的には


「いとをかし」=「非常に趣がある」


と訳されます。もう少しかみ砕いて訳すなら「とてもおもしろい」、さらに崩してしまうと「マジ最高!」みたいな感じですよ。

ちなみに、平安時代に「いとをかし」と並んでよく使われていた「あはれ」は「しみじみとした趣、寂しさ、悲しさ、愛情、情け」といった意味がありますよ。

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枕草子 春はあけぼの の原文とわかりやすい現代語訳

それでは、清少納言の枕草子「春はあけぼの」の原文超絶わかりやすい現代語訳を紹介しますね。

現代語訳は「きっちりとした訳」と「少し砕けた訳」の2つを載せていますので、参考にして下さい。

春はあけぼの 春 の原文と現代語訳

原文

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。


現代語訳

春は明け方(が良い)。だんだんと白くなっていく山ぎわが、少し明るくなって、紫がかった雲が細くたなびいている。



かみ砕いた訳

春は明け方が良いよね。太陽が昇っていくとだんだんと空と山が接する部分が白くなっていくでしょ。そこが少し明るくなって、紫がかった雲が細長~くたなびいている様子が良いんだよね。

春はあけぼの 夏 の原文と現代語訳

原文

夏は夜。月の頃はさらなり。やみもなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし


現代語訳

夏は夜(が良い)。月が出ている時は言うまでもない。闇夜もやはり、蛍が多く飛び交っている(のが良い)。また、ただ一つ、二つなど、ほのかに光って飛んで行くのも趣がある。雨が降るのも風情がある



かみ砕いた訳

夏は夜が良いよね。お月様が出て明るい夜が素敵なのは言うまでないんだけど、お月様が出ていない真っ暗な夜に蛍がたくさん飛び交って光っている様子も好きだな。

蛍は多くなくて、一匹、二匹かすかに光って飛んでいるのも、これはこれで綺麗だよね。雨が降るのも風情があって良いと思うな。


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春はあけぼの 秋 の原文と現代語訳

原文

秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。

まいて、かりなどのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。



現代語訳

秋は夕暮れ(が良い)。夕日がさして山の端がとても近くなっている時に、鳥がねぐらへ戻ろうとして、三羽四羽、二羽三羽と飛び急いでいるのもしみじみと感じられる

まして、雁などが列を作っているのが、とても小さく見えるのは、大変おもしろい。日が沈んでしまって、風の音、虫の音など(が良いのは)、また言うまでもない。



かみ砕いた訳

秋は夕暮れが良いよね。差し込んでくる夕陽が、山と空の境目にとても近くなっている時があるでしょ。その時、烏が寝床の巣へ帰ろうとして、三羽四羽、二羽三羽と飛び急いでいる様子さえも、なんだか哀愁が漂っているように感じちゃう。

まして雁なんかが並んで飛んでいるのが遠くで小さく見えるのは、とても情緒あふれる風景だよね。夕陽が沈んでしまった後から聞こえてくる風の音や虫の鳴き声が愛らしいってことは、言う必要はないよね。


春はあけぼの 冬 の原文と現代語訳

原文

冬はつとめて。雪のふりたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火をけの火も、白い灰がちになりてわろし


現代語訳

冬は早朝(が良い)。雪が降っている時は言うまでもなく、霜が非常に白い時も、またそうでなくても、とても寒い時に火を急いでおこして、

炭を持って(廊下を)渡るのも、たいそう似つかわしい。昼になって寒さがゆるくなると火桶の炭火も白い灰が多くなってしまい、良くない


かみ砕いた訳

冬は早朝が良いよね。雪が降っている朝なんかは言うまでもなく綺麗でしょ。霜が降りて辺り一面が真っ白になっているときも綺麗だし、そうじゃなくても、とても寒い朝に、

火を急いでおこして、部屋の炭びつまで廊下を渡って持っていく様子なんて、まさに冬にぴったりだよね。でも、昼になってだんだんと暖かくなってくると、火桶に入った炭が白い灰だらけになるでしょ。あれはダメよね。


「いとおかし」の意味は?まとめ

いかがだったでしょうか?「いとをかし」は平安時代の代表的な美的理念の1つで、清少納言が書いた「枕草子」によく出てくる言葉です。

「いと=とても」、「をかし=趣がある」で「とても趣がある」と訳されることが多いですよ(*´ω`*)